<88>2度目の家宅捜索で精悍な顔つきの刑事2人に捜査協力を打診され…
■2度目の家宅捜索
翌29日は夕方から斎場で通夜があるので、午後4時には葬儀屋さんが遺体を自宅から運び出す予定になっていた。この日の朝、スーさんと一緒にドン・ファン宅に行くと、家に通じる路地の両側約100メートルに黄色いテープが張ってあり、それぞれのそばに警備の警官が立っていて、10人ぐらいの記者やカメラマンが陣取っていた。
「関係者ですから」
そのように言って黄色いテープをどけてもらってドン・ファン宅脇の駐車場に車を入れた。
「家宅捜索なので入れません」
警官が塀の前で両手を広げた。
「オレの喪服が中に置いてあるから、ちょっと入りたいんだけど」
「捜索が終わるまでダメです」
「もしかして、吉田さんですか?」
振り向くと、40代ぐらいで肩幅が広く精悍な顔つきをしたワイシャツ姿の男性が2人いた。