著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<108>「私、逮捕されるの?」家政婦の大下さんは深刻な表情でポツリ

公開日: 更新日:

 2018年6月1日、早貴被告は東京・新宿区内の自宅マンションで行われる家宅捜索に立ち会うため、番頭格のマコやんが運転するべンツで、家政婦の大下さんと一緒に早朝の南紀白浜空港に向かった。私も大阪まで戻ってレンタカーを返却してから新幹線で東京に向かうつもりだったので、空港までベンツに付き合った。

 どこからか情報が漏れているようで、空港には大勢のマスコミが待ち受けていて、早貴被告にムービーのカメラを向けたり、シャッターを切ったりしていたが、彼女は小走りで逃れるように空港の中に飛び込んだ。空港内部での取材は禁止されているのでフロアは静かだったが、数人の男女の私服警官の姿もあった。どうやら彼女と一緒に新宿のマンションに行くらしい。

「まったく、ひどいわ。私の家も明日家宅捜索をするって言っているけれど、東京に行く交通費も出ないのよ」

 空港の待合室で大下さんが私に不満を漏らした。大下さんは東京・六本木のマンション住まいだ。

「そりゃあ、ひどいですね。警察の都合で家宅捜索をするのだから、交通費は負担すべきじゃないですか」

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