NHK紅白歌合戦の最低視聴率は音楽・テレビ・マスコミの3業界に衝撃を与えた
昨年末のこのコラムで「NHK紅白は、いよいよそれ自体を考え直す時機に来た」と書いたが、まさにその大みそか紅白の世帯視聴率が34.3%(第2部)と史上最悪となった。
これまでにも紅白の「終わりの始まり」という言葉を耳にしたことはあったが、それをひしひしと感じることとなった。
では紅白の低視聴率の陰で、裏番組の数字が上がったのかといえば、そうではない。例年、対抗馬として扱われた日本テレビ系「笑ってはいけない」シリーズが放送されなかったこともあり、目立った番組はなかったと言ってもいいだろう。改めて“テレビ離れ”の加速を印象付けた。
これまでの当たり前、習慣の崩壊は多方面にも及ぶ。まずは、音楽業界。CDの売り上げが低迷して久しいが、レコード会社が行う演歌歌手のリストラはもう20年にもなる。ところが、今や演歌に限らずCD自体が売れない。若い世代はネットで音楽を入手するのが当たり前で、CDはアイドルやアニメグッズの“おまけ”に付けて売っているという状況だ。レコード会社のプロデューサーに聞けば、「360度ビジネスで、グッズ販売などあらゆる権利関係で商売しなくてはならない。新しい事業を考えろと上からせっつかれる」そうだ。もちろん多くの人に受ける、良い楽曲を作るのは当然であって、その上での話だ。レコード会社が音楽だけやっていればいい時代は終わった。