映画「ウエスト・サイド・ストーリー」が突き付ける“移民問題”という現代的テーマ
東京など都市圏ではまん延防止等重点措置が施行中で、外出を控える中高年向きの作品が軒並み苦戦するなか、初動で動員9万1000人、興収2億円を突破。口コミの評価も高い。ゴールデングローブ賞では作品賞と主演&助演女優賞の主要部門を受賞しており、アカデミー賞でも7部門にノミネート。とくに作品賞では有力候補の一角と目されている。
■反トランプとコロナ
「移民問題は現代にこそ合致するテーマだとスピルバーグ監督が語る通り、61年版より社会性が色濃い点も評価されています。ちなみに昨年日本でも公開されたミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ』と舞台とテーマが丸かぶりなのは、両者ともトランプ時代の20年に公開予定だったものが、コロナで延期された作品だからです。移民社会のハリウッドでは、移民に厳しいトランプ氏に抵抗するような企画が、当時は次々と生まれていました。スピルバーグは民主党支持者でもあり、『ウエスト・サイド・ストーリー』のメガホンをとることはまさに水を得た魚のようなものだったのでは」(前田氏)
豪華絢爛なスペクタクルと奥の深い物語性。久しぶりに大人の鑑賞に堪える本格ミュージカル映画の登場といえそうだ。