軍事に依拠しない真の世界平和達成は果たして夢物語なのか
ロシアが核戦力を念頭に軍の戦力を引き上げたことに対し、国連のグテレス事務総長は「かつては考えられなかった核戦争が今や可能性があるところまで来ている」と危機感を示した。
まさか子供の頃にはマンガやSFの中でしかなかった世界があっという間に現実の脅威になる。そんな時代をこんなに早く目の当たりにするとは思っていなかった。
それに乗じて、日本も核武装の議論をすべきだという、きな臭い論法があちらこちらで見られるようになった。それも日本征服を考えるカルト集団の言葉ではない。現実に政治をつかさどる首長や議員から発せられたのである。
身近な海外で戦争が起こった。日夜その悲惨なニュースが映像で報じられる。それに対し戦争反対をとなえる。これはごく自然な流れのはずである。ましてやこの国は憲法で戦争放棄をうたい、軍隊を持たぬ国である。ところが話は逆である。いつ何時自国もこのような侵略に遭うかわからない。その備えをすべきだ。パワーバランスを保って、その均衡で平和を維持するのだ、そのためには核の抑止力も必要だ、という話になってくるわけだ。