女優・長澤樹は繊細な感覚で叙情的な表現が抜群にうまい新星
素顔の長澤樹は、明るいキャラクターの中に知的で繊細な一面を持つ。
インタビューしたときに彼女が、音楽だけでなく「音」そのものを聴くのも好きで、映画を見るときにもいつも風の音などを意識しているという話をしてくれた。「ラジオのお仕事(J-WAVE「BITS & BOBS TOKYO」)を始めてからさらに、音に敏感になりました」(アーキテクト「タレントパワーランキング」Web・2022年2月8日配信)と語る。
最近は料理も好きだというので得意料理を聞くと、ありものを使って作る日常的な「名もない料理」と答えた。「名もない料理」という表現が、詩的でなんともステキだ。
そうした繊細な感覚が演技にも生かされていて、シリアスなストーリーで叙情的に表現するのが抜群にうまい。
長澤樹の魅力を街の中にある音色にたとえるなら、弓道場に響く矢を射る音と的に当たったときの春の晴天のように突き抜ける音。静寂が破られる様子が、しなやかな存在感から意外性が飛び出てくる長澤樹の演技によく似ている。 (つづく)