是枝裕和監督がカンヌ映画祭で切実な訴え…日本映画界の「危機的状況」を示すデータ
「日本の映画界全体が危機感を持つべき。もう何年か、このままいくと手遅れになると個人的には思っています」――5月28日(日本時間29日)にフランスで行われたカンヌ映画祭の授賞式で、日本を代表する映画監督のひとり、是枝裕和監督(59)がそんな話をしていた。
自身初となる韓国映画「ベイビー・ブローカー」(6月24日公開)で、主演のソン・ガンホ(55)が韓国人俳優初の男優賞を受賞。是枝監督は「自分の映画に出た役者が褒められるのが一番うれしい」と笑みを浮かべていたが、一方で「日本の映像産業、映画文化も含めて変えなければいけないところは、明快になってきている」などと語っていた。
3月に授賞式が行われた米アカデミー賞では、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、2009年の「おくりびと」以来、13年ぶりとなる国際長編映画賞(旧外国語映画賞)に選ばれたばかり。日本の映画界は朗報続きのような気もするが、そんなに危機的な状況なのか。
日本映画製作者連盟の資料によると、2021年の国内の興行収入は全体で1618億9300万円。そのうち邦画は1283億3900円と8割近くを占めている。全体でも2020年(1432億8500万円)と比べて13%増と「コロナ禍の“傷”は癒えつつある」(映画会社関係者)ように映るのだが。