歌丸師匠が「竹千代君の面倒見させてもらっていいですか」と…
家康のような勝者が嫌いなのもうなずける。
話は変わるが、竹千代は二つ目時代、桂歌丸に可愛がられたとか。
竹丸「歌丸師匠が私を呼んで、『竹千代君の面倒見させてもらっていいですか』と言うんです。ありがたいことなので、『よろしくお願いいたします』と頭を下げました」
竹千代「歌丸師匠のお供で、よく地方公演に行きました。晩年でしたから、移動は車椅子で、酸素ボンベ持参でしたが、高座に上がると、弱っている様子をみじんも見せず演じて、幕が下りたとたんグッタリしてましたね。間近で師匠の芸に接して、いい勉強をさせていただきました」
そのころ、新作落語の会を始めたとか。
竹千代「仲間と一緒にネタ下ろしの会を始めたのですが、20席近くやっても手ごたえがなかった。それで自分が最も興味がある古代史をテーマにした新作をやってみようと、『古事記』をやったらよく受けて、初めて手ごたえを感じました」(つづく)
(聞き手・吉川潮)