「市川團十郎・新之助」襲名披露公演が始まり歌舞伎座にかつての日常がようやく帰ってきた
十三代目市川團十郎白猿と、八代目市川新之助の襲名披露公演が始まり、「團十郎のいない歌舞伎」は9年で終わった。
花道周辺を除いて全席発売し、掛け声も許可された人のみだが解禁された。劇場前では人が道路にはみ出し、筋書き売り場には長蛇の列、客席は満席。即日完売とはならなかったが、ようやく歌舞伎座にかつての日常が帰ってきた。
大御所たちが共演をしぶっているとか、いろいろ報道されているが、新しい團十郎を同世代が盛り上げ、父・十二代目と同世代の大幹部たちが、遠くから見守るという構図ができあがっている。
従来の襲名披露公演では、当人以外の大幹部が出る演目では、その役者の得意とする演目が多かったが、今回は昼・夜とも市川家の「歌舞伎十八番」で揃えている。
先に新之助が登場して、「外郎売」。子役というより、小柄な俳優という堂々たる主役ぶり。新之助の斜め後ろで、尾上菊五郎が目を細めて見守っていたのが印象的だった。
昼の部で團十郎が出るのは「勧進帳」で、もちろん弁慶。松本幸四郎が富樫、市川猿之助が義経をつきあった。幸四郎と猿之助は共演が多いが、團十郎とは、共演機会は少ない。こういう顔合わせができるのも、襲名披露公演ならでは。