東京・新大久保「イスラム横丁」のネパール料理店でよみがえった、ざらり。
コリアンタウンのイメージが強い東京・新大久保に「イスラム横丁」と呼ばれるエリアが存在するのをご存じだろうか。さほど広くはない。せいぜい半径50メートルの半円に収まるはずだ。駅前の大通り(大久保通り)から少し外れた一画に、ハラルフード(イスラム教の戒律で食べることが許された食品や料理)を味わうことのできるレストランや、スパイス、野菜、冷凍肉などの食材を販売する食料品店が軒を連ねる。
ここにムスリム(イスラム教徒)が集うようになったのは、2005年ごろにインド系ムスリムがハラルフードの専門店をオープンさせてからと聞く。小路を行き交うのは、一見して外国人とわかる人たちがほとんど。どんなにイスラム教に詳しくない人でも、ここに来ればきっと「ここって日本?」と肌で感じるだろう。
■日本語が通じないから本音で話せる
ぼくがイスラム横丁に足を運ぶようになったのは、わりと最近のことである。ネパールやインド、中東の料理を気軽に楽しむことができるのはもちろん魅力的だが、より大きな理由は日本語がほぼ通じない環境にある。それは、他人の目や耳を気にすることなく、存分に本音を話す自由を満喫できるということ。実際、身内と気のおけない話をしたいときはイスラム横丁に行く、という芸能人をぼくは知っている。ここでは日本の有名人も特別扱いされない。あんたの神様もこの辺じゃ無名、という無関心が妙に心地好いらしい。