「ゴダイゴ」リーダー・ミッキー吉野さんに自由を教えてくれたリトル・リチャードのロックンロール「Send Me Some Lovin'」

公開日: 更新日:

「ガンダーラ」「モンキー・マジック」「銀河鉄道999」などで1980年前後の音楽シーンを圧倒したバンド「ゴダイゴ」のリーダー、ミッキー吉野さん。ジャンルにこだわらないオリジナルな発想や曲調は、どこから生まれたのか。原点は小学生時代に聴いたリトル・リチャードのロックンロール「Send Me Some Lovin'」だった。

 ◇  ◇  ◇

 僕が育ったのは横浜の磯子です。昭和26年、1951年生まれです。

 場所柄、軍属関係の外国人が住んでいて、友だちも外国人の子が多かった環境です。彼らの家に遊びに行くと、軍の放送が流れていたり、FENはもちろん、ラジオ関東(現・ラジオ日本)の放送から、やたら洋楽が流れていた。海外の音楽がドッと入ってきて、ジャンルは関係なしに洋楽を聴くことができた時代です。

 父親の影響で聴いていた日本の歌は「荒城の月」とか「城ケ島の雨」です。洋楽では映画の主題歌「デビー・クロケットの歌」とか。父親がピアノを買ってくれたので、3、4歳からクラシックを弾いていました。譜面を見ながら、基本的なバイエルや映画「愛情物語」の主題歌とかを弾いていたのかな。

 横浜だから、アメリカの子供たちと喧嘩することもありましたね。そんな時は沿岸警備の米軍のショアパトロールと日本の警察がぶつかり、英語がわからない日本のお巡りさんがバカにされたりして。まさに「ヤンキー・ゴー・ホーム」の世界です。それへの反発もあったけど、アメリカの子たちに「旅愁」を弾いてあげて仲よくなったこともありました。

 でも、流れてくるのは洋楽です。リトル・リチャード、エルビス・プレスリー……ロックンロールが流れてきて強烈な洗礼を受けるわけです。

■耳から入ってきた洋楽をピアノで自由に弾くことを覚えた

 そうなるとクラシックは嫌になっちゃってね。譜面を見て弾いていたけど、譜面を見るのも嫌になった。いつの間にか耳から入ってきた洋楽をピアノで自由に弾くことを覚えちゃったんです。

 リトル・リチャードは「Send Me Some Lovin'」や「Long Tall Sally」「Good Golly Miss Molly」。「Hound Dog」なんかも聴いていた。中でも小学生の僕が一番得意だったのが「Send Me Some Lovin'」でした。思いっきり叫んでピアノを連打する、そういうのが肌に合っていたんだと思います。

 バンドをやっていた叔父たちの前で弾くと、そんな僕の姿を喜んでくれたのも大きかったかもしれません。

 当時は「ビキニスタイルのお嬢さん」とか「ダイアナ」といったオールディーズ、坂本九さんの「上を向いて歩こう」もはやっていた。「上を向いて歩こう」の中村八大さんのアレンジなんかもすごく音楽的でいいなと思いました。

 レイ・チャールズも好きでしたね。「I Can't Stop Loving You」や「Hallelujah I Love Her So」。フレンチポップスも好きになって「アイドルを探せ」のシルビ・バルタンのコンサートも見にいったし、ボビー・ソロの「ほほにかかる涙」……。それらも全部聴いただけで弾くことができました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  4. 4

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 5

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  1. 6

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 7

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  3. 8

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 9

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  5. 10

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」