「ゴールデンウィーク」は映画業界の宣伝用語だった 疑わしさで満ちるは政治という現実か、映画という虚構か
春の大型連休も後半戦である。この連休の異名〈ゴールデンウィーク〉がもともと映画業界の宣伝用語だったことは有名だ。1948年の祝日法施行から3年経った51年に、当時大映の社長だった永田雅一が作ったといわれる。つまり黄金週間と映画は切っても切れない関係にある。
前々回に記した通り、4月27日、御茶ノ水のブックカフェ〈エスパス・ビブリオ〉にて、2007年公開の幻のカルト映画『東京の嘘』を起点として「現代カルチャーを縦横無尽にぶった斬る究極のエンタメ鼎談!」(イベントフライヤーより)が催された。出演者は同作の主演を務めた作家の島田雅彦さん、井上春生監督、そしてぼく。中森明夫さんと並び本連載最多登場を誇る島田さんと、ぼくが作品に主題歌や劇中歌を提供してきた井上さんは、ともにかけがえのない畏兄というべき存在だが、3人が会するのは初めて。だからこの機会をとても楽しみにしていた。
〈エスパス・ビブリオ〉の心地好さを手短に説明しようとすると、どんなに思案を巡らせても結局は「都会の隠れ家」という手垢のついた表現に落ち着く。広々とした空間には、グラフィックデザイン関連書を中心に6千冊もの蔵書、ヴィンテージのテーブル、ソファ、さらにピアノまで配され、大きな掃き出し窓の向こうには美しい竹林まで見えるのだから。にわか雨もあがった土曜の昼下がり、ぼくが玄関扉を開くと、店内にはすでに知的好奇心に満ちた大人の男女たちが集い、紅茶やケーキを口に運びながら歓談中。定員50名のイベントには満員御礼が出ていた。