山田五郎が雑誌作りで得た「好きになることが仕事」のノウハウ
「タイトルかぶりは著作権侵害だと訴えてきかねない面倒くさそうな架空の著者を立てようと、『大阪で中華料理屋をやってる山田五郎というおじいさん』というキャラを設定して、俺が原稿を書き、その場にいたナンシー関が消しゴム版画を彫った」(大和書房「『深夜』の美学」菅原正豊著・2025年3月15日発売)のだという。
さらにリアリティーを出すため、えのきどのラジオ番組にそのキャラで出演。それを聴いていたのが「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)のスタッフ。お尻を審査するコーナー「今週の五ツ星り」で「お尻評論家」として出演することになったのだ。
彼はお尻を「ルネサンス後期」だとか「ゴシック」などと、美術に例えて品評した。「まさにこういうことをやりたかったんだというのを体現してくれて、ピタッとハマりました」(同前)と演出の菅原正豊は言う。
あらゆる分野に詳しいように見えるが、「義務感でやる勉強は本当に苦手」(FARO BASSO「ぼくのおじさん」22年5月25日)なのだという。代わりに対象を「好きになる」ことを最優先した。それは雑誌作りで得たノウハウだ。