自撮り熟女写真家マキエマキが「昭和エロ」に執着する理由
◇ ◇ ◇
――こうした作品を撮るようになったきっかけは。
「もともと“昭和のエロ”が好きだったというのはありますね。私は大阪の平野区という下町出身なんですが、子供の頃は、にっかつロマンポルノや大蔵映画など、ピンク映画のポスターが街中に普通に張ってありました。その時に目にした『くいこみ海女 乱れ貝』のポスターは強烈に印象に残っています」
――原体験があるんですね。
「商業カメラマンとなってからは、旅行雑誌や広告などで主に風景や建物を撮っていたんですが、フリーになった20代後半から、仕事関係者に、写真家としてではなく性の対象として見られたりすることが多かったんですね。仕事中にヘンな感じで言い寄られたり……。それはつらいことでした。
その後結婚し、4年前の49歳の時に閉経の兆候が訪れたのですが、今度は忌み嫌っていたはずの自分の中の“女の部分”が消えていくことに寂しさを覚えたんです。それで好きだった昭和エロをベースに、自撮りという形でそれを残しておこうと。最初は室内でセーラー服や下着を着けて撮ってただけなんですが、グループ展に誘われたことがきっかけで、“貝殻ビキニ”とか“女体盛り”とかいろいろ撮ってみようかなって」