血圧の上昇が悪影響を与える 室温が低いと「脳」が老化する

公開日: 更新日:

「医学的見地から言うと、65歳以上の高齢者は寒い場所にいると血流が悪くなって脳にブドウ糖や酸素が届きにくくなり、結果的に慢性的な脳の老化を招くということです。また、寒いと血圧が上がり動脈硬化が進むため、脳の血管が詰まったり破れたりする。いずれも脳にダメージを与えてしまいます」

 こうした理由から、寒さによる高血圧症がアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を誘発する危険もあるそうだ。

 伊香賀教授の研究では、入浴の際の脱衣所の室温が15度の家と13度の家では住む人の健康寿命に差が出た。13度のほうが要介護認定を受けやすく、健康寿命が4年短かったというのだ。

 原因は寒い場所で裸になって収縮した血管が風呂の中で温まって一気に血管が広がること。米山氏は「高齢者が血圧が急激に下がって脳に血流がいかなくなり、心筋梗塞などで倒れることがある」と警告する。そうしたことからWHO(世界保健機関)は冬の最低室温を18度以上にするべきだと勧告している。

「暖房はストーブよりも居間全体を暖めるエアコンがいいでしょう。その場合、加湿器があると空気の乾燥を防ぎ、カゼなどのウイルスの動きを抑制できます。暖房を使わずセーターを重ね着する高齢者もいますが、加齢により自分で発熱できにくくなっているため体が温まりません。お茶やコーヒーのような温かいものを飲むほうがいい。エアコンを18度に設定しても実際はそれ以下のことがあるので、室温計で温度をチェックしてください。北海道の寒冷地でも健康な人が多いのは冬場の家の中が暖かいからです」(米山公啓氏)

 健康のためにやせ我慢せず、しっかり暖を取りたい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…