認知症の親が不意に泣いたり怒ったりするのはなぜか?

公開日: 更新日:

 認知症を発症すると、ひどく怒りっぽくなったり、イライラして家族への当たりが強くなることがあります。これは「感情失禁」と呼ばれ、自身の感情表現をコントロールできない状態を指します。

 とりわけ脳血管性認知症の方は、脳梗塞脳卒中で脳の神経細胞が破壊され、本来の機能が発揮できません。感情をつかさどる前頭葉の機能が低下すると、自分の意思では感情のコントロールが利かなくなります。そのためささいなきっかけで不意に泣いたり怒りをあらわにするのです。また、笑ってはいけない場面で大笑いをするなど、場にそぐわない感情表現が見られるので、家族や周囲の人は驚き、戸惑うでしょう。

 ですが無理に落ち着かせようとご家族も一緒になって怒ったり正論で諭そうとすると、本人はかえって興奮し、騒いだり暴力に発展する恐れがあります。冷静に対処するのがポイントです。

 脳血管性認知症と診断された70代の女性は、家族と食事に出かける直前で、「デイサービスを休んでまで食事に行きたくない」と家族に対してイライラをあらわにし、自室に閉じこもり泣いていたそうです。つい先ほどまでは、久々の外食を心待ちにした様子だったため、ご家族は大変驚かれたといいます。ここ数カ月はイライラして家族に当たったり、泣く頻度が多かったことから、診療時に主治医に相談すると、「感情失禁は一時的に生じる症状でずっと続くものではないから、過剰に心配する必要はない」とアドバイスを受けていました。その言葉の通り、正論で諭したり過剰に反応せず、ただ見守り続けたところ、数分後には興奮は沈静化して無事に楽しく食事に出かけられたとおっしゃっていました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース