大学入試「総合型選抜」突破のコツは英語とボランティア経験にあり
今年の大学受験は国公立大の後期日程の合格発表や一部の私大を除いてほぼ終わり、受験業界は来年に向けて動き始めている。実はいま、大学受験は保護者が受けたころと一変しているのをご存じだろうか。来年やその先を目指している子供を抱える家庭は、その変化を頭に入れておいた方がいいだろう。
■一般入試は少数派になっている
親世代にとって大学入試といえば、いわゆる英語、数学、国語、理科、社会などの学科試験の成績を中心に選抜する方法をイメージするはず。このタイプは、一般選抜と呼ばれる。
これに対して最近、注目され、多くの大学で採用されているのが、総合型選抜だ。学科試験でチェックできる知識や思考力だけでなく、学習への意欲や人間性など受験生を多面的に評価するのが特徴で、志望理由書や調査書などの書類選考、面接、小論文を組み合わせた選抜が基本だ。
大学によっては、共通テストをはじめとする学力試験のほか、プレゼンテーションやグループディスカッションなどがプラスされることも珍しくない。志望者を幅広い面から調べる入社試験のようなイメージだ。
そして3つ目が学校推薦型選抜で、従来の推薦入試に近い。学校長の推薦書類を必要とする選抜方式で、公募制と指定校制があり、一定以上の高校の成績が求められるケースが多い。大学によっては、さらに書類審査や面接、学科試験が課されることもある。
大きく3つに分けられる大学入試の選抜方式にあって、入学者数が大きく伸びているのが総合型選抜だ。文科省が毎年発表する「国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況」(2023年度)によると、大学の場合、総合型の入学者数は4年連続の増加で全体の14.8%、学校推薦型は同35.9%を占める。合計すると50.7%で、2人に1人以上が総合型か学校推薦型で大学に進学しているのだ。
■国立64、私立9割超で実施
志願者数も入学者数も減少傾向で、推薦型はほぼ横ばい。大学は一般選抜の枠を減らし、その分を総合型選抜に上乗せしている格好だ。東大は総合型がないものの、東北大は昨年、将来的に全面的な総合型への移行を示して話題を呼んだ。北大や東北大、東工大などの国立大64大学のほか、私大は早慶はじめ9割超の558大学で行われている。大学が総合型を重視するのはなぜか。
総合型対策塾リザプロの代表・孫辰洋氏は、総合型の元となったAO入試で早大政経学部に進学した。そんな孫代表に、総合型について詳しく聞いた。
「大学が学生に求める能力はたくさんありますが、中でも重視するのは英語力、社会課題を解決しようとする意欲と実績、学習習慣の構築力の3つです。これを評価するには総合型選抜が適しています。要は米国型の大学入試を導入したのです」
少子高齢化は、大学経営も揺さぶり、定員を確保するには外国人留学生の受け入れが不可欠。授業の共通言語として英語が重視される。一方、海外との比較で大学のランキングを上昇させるには英語での論文を数多く執筆することが重要で、そんな論文を執筆できる学生としても英語力が重要だそうだ。
「大学で学ぶ学問を突き詰めると、すべては社会の課題を解決するためにあるといえます。それは大義名分だとしても、社会が抱える課題について問題意識がある学生がその課題解決に向けて具体的な活動をしていれば、そうではない学生と比べて大学で学ぶモチベーションが高い」