コラムニスト石原壮一郎さん 伊勢うどん愛を語り尽くす「きっかけはコシ至上主義への反発」
さらに、伊勢うどんは「ふんわりと絡まり合う大切さ」も教えてくれます。しっかりかき混ぜることでおいしい伊勢うどんが完成するのはフワフワの麺がタレをほどよく吸い込むから。人と人もコシをなくして対峙すれば、やさしくて柔らかい関係が築けるに違いありません。
昨今の社会では、とくにネットやSNSにおいては不毛な対立と醜い攻撃が繰り返されています。炎上やバッシングや誹謗中傷を見続けているおかげで、私たちはすっかり「人間不信」になってしまいました。
日常生活においても何か意見を言えば、どこかで誰かに揚げ足を取られそうな気がして、当たり障りのないことしか言えなくなっています。一方で、これもネットの悪影響ですけど、他人の意見や行動に対して、無意識のうちに「あら探し」をする癖が付いてはいないでしょうか。
実際にネット上で正義のこん棒を振り回して誰かの「小さな過ち」を寄ってたかって叩いている人はごく少数かもしれません。しかし、いつの間にか「まあ、そういうことになっても仕方ない」という雰囲気になってしまいました。