コラムニスト石原壮一郎さん 伊勢うどん愛を語り尽くす「きっかけはコシ至上主義への反発」
石原壮一郎さん(コラムニスト/61歳)
「伊勢うどん」をご存じでしょうか? 太くてやわらかい麺に、タマリをベースにした甘辛いタレをからめて食べるのが特長です。伊勢神宮の参拝客に江戸時代から愛されてきました。地元民にとっての大切な「ソウルフード」でもあります。
三重県出身の私は幼い頃から伊勢うどんに親しんできました。大人になって関東で暮らして、疎遠になっていた時期もあります。しかし、いつしか伊勢うどんは私の人生に欠かせない存在となりました。まさに「生きるクスリ」です。
■「コシ至上主義」に反発
20年ほど前からでしょうか。うどんがブームになったのはいいんですけど、同時に「うどんはコシが命」「コシのないうどんはうどんじゃない」という偏った価値観が広まりました。そんなこと言われたら、やわらかさが身上の伊勢うどんは立つ瀬がありません。
そんな風潮を憂いて10年ほど前に私はふんわり立ち上がりました。「伊勢うどん友の会」を結成し、「うどんはコシじゃない!」と、SNSやコラムや書籍などを通じて世に訴えたのです。