「大蔵湯」サウナは95度のボナタイプ 輻射熱が優しく、もう少しこの空間を楽しみたい
大蔵湯(町田)
JR古淵駅から境川を越え、木曽中原交差点の近くで住宅街に入ると、高い煙突が見えた。1966年創業の「大蔵湯」は、木造の情緒ある外観の雰囲気を残して2016年にリニューアル。下駄箱に靴を預け、木札を手に番台を思わせるフロントでサウナ+入浴料900円を支払うと、タオルセットが入ったバッグを受け取った。
格天井から和照明に照らされた脱衣場は、ゴザの床。老舗の旅館のような木のぬくもりを感じながら服を脱いで浴場にお邪魔すると、雲海たなびく壮大な金富士の壁絵に迎えられた。女湯まで広がる細かいタイル画は、横山大観の「霊峰」がモチーフで各メディアに紹介されたほど芸術的。
玉砂利の床を踏みしめて洗い場に腰かけ、用意されたリンスインシャンプーなどで体を洗い、さて風呂に入るぞ。
正方形状の湯船は、3槽に区切られている。総ヒノキ造りの湯は広くてぬるめ。熱めの湯はチリチリと体の芯まで温まる。もう1槽は水風呂だった。どれも天然井水を軟水化していて、湯船に体を横たえると、湯がザバザバとあふれる。
「当店では静寂の中、お湯の音、聴覚、視覚を通してリラックスいただけるようにしております」と2代目の土田太一さん。その狙い通りで、湯船から高い天井を見上げていると、何ともいえずホッとして温まったところで、サウナに参りますか。
ビート板を手に入室すると、サ室もヒノキ造りで明るい。ストレート2段ベンチには布マットが敷かれ、定員6人。上段の空席にどっこいしょ。背面の壁に収納された遠赤外線ヒーターがカチカチと熱波を送る音のほかは何も聞こえない。
95度設定のボナサウナは、輻射熱が優しく体を包んでくれる。12分計3分ほどで玉汗が浮かび、5分で汗ダラッダラになった。鼻の奥で木の香りを感じながら、熱さで焦げた壁を見ていると、もう少しこの空間を楽しみたくなってくる。1セット目は10分頑張った。
立ちシャワーで汗を流し、軟水井水かけ流しの水風呂にザブンすっと、玉タイルの浴槽からザバーッと水があふれる。肩までつかり、キンキンの自然水で火照りをとるのは、まさに至福。あ~、気持ちよくて脳みそがトロットロだぁ~。
2セット目と3セット目は12分計1周完走すると、体にうっすらとあまみが浮かんできた。坪庭が見える脱衣場の畳ベンチで優雅にととのった。古民家風銭湯は13台分の駐車場を備えている。