広島の流山銀座で40年「新京本店」で一晩100杯出るウコン多めのカレー汁を堪能
昔からカレーは飲み物
店内はL字カウンターだけ。アタシらはその真ん中に陣取り、まずは生ビール(600円)から。目の前にあるガラスケースには所狭しとうまそうな総菜が並んでいる。それぞれ1人前ずつ皿に盛られ、まさに昭和の食堂といった風情。肉じゃが、ポテサラ、マカサラ、シューマイ、煮魚に揚げ物など家庭料理のオンパレード。飲むのもいいが飯が欲しくなる。確かに周りを見れば、飯とともに生ビールをあおっている客が多い。ちなみに料理は和田さんとパートの奥さんたちが昼の時間帯に作っているそうだ。
営業は夕方6時から翌朝6時まで。宵の口、深夜、早朝と時間帯によって客層が違う。日付が変わる頃は夜のご商売のお姉さま方が空腹を満たしにやってくる。連れがこそっと「狙い目はその時間帯なんですよ」。なるほど。そんなレア情報をチェックしつつ、アタシは肉じゃが(450円)と牛すじ煮込み(480円)、連れはポテサラ(350円)と卵焼き(430円)を注文。あっという間に目の前に料理が並ぶ。つまむというより、ガッツリ食いかつ飲むといった感じ。女性の一人客も人目をはばかることなく次々と注文し、ガシガシやっている。もちろん生ビールもグイグイ。いいね。客は引きも切らず、常に満席状態だ。
そんな話を店主の河野さんに振ると、「いやあ、最近はそうでもないですよ。今日はよく入っている方です」。景気が良くないのは、いずこも同じか。
さて、締めは新京名物のカレー汁(600円)。カレーは飲み物などといわれたことがあったが、ここでは昔からカレーは飲み物だ。先代の主が二日酔いのとき、カレーのルーだけを薄めて食べたことがきっかけでカレー汁ができたらしい。これが絶品。給食に出てきたカレーシチューをさらにおいしくした感じ。違うのは酒飲みの体を気遣って、ウコンを多めに入れていること。このカレー汁、多いときは一晩に100杯出るというから恐れ入る。この店のお客さんが元気な理由がよくわかりましたよ。(藤井優)
○お食事処・新京本店 広島市中区流川町5-9