元テレ東アナ赤平大さん 発達障害の息子と続けた努力と習慣 “塾ナシ”麻布合格の秘訣はギフテッドにあらず
幼少期に発達障害と診断された子どもが、入試まであと2カ月に迫る中、男子御三家の一つ、私立麻布中学(東京都港区)受験を決断。晴れて合格したことが記事になると、たちまち多くの反響を呼ぶことに――。
合格までの歩みをつづった著書『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』(飛鳥新社)を11月に出版したのが、元テレビ東京アナウンサーの赤平大さん(46)。
お子さんの麻布中合格が話題になる一方で、“ギフテッド”、“入試2カ月前に受験決断”、“塾に通わず合格”など、天才的要素ばかりに注目が集まり、赤平さんは少し困惑したという。高IQ(知能指数)だから「勉強ができる」「受験に適している」かというと、必ずしもそうではないからだ。
そもそも受験すら考えていなかったのが、なぜ麻布中受験を決断し、合格に至ったのか。発達障害からくる生きづらさを少しでも解消して、将来、社会人として独り立ちできるよう親子で学び続けたことがその背景にあり、こうした地道な努力を記録したのが今回の著書だ。
入試2カ月前に受験を決め、塾通いもせず超進学校に合格――という結果はあくまで副次的なものにすぎなかったという。
赤平さんに話を聞いた。
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赤平さんのお子さんは保育園のとき、発達障害であると同時に高IQであることが判明した。
「高IQや突出した能力を持つ人のことをギフテッドと言いますが、発達障害の中にギフテッドの特性を併せ持つケースは2E(Twice-Exceptional)と言われ、息子はこれに該当しました。しかし、この時点で将来、進学校を受験して通うことになるとは想像すらしていません。私と息子は、発達障害に理解のある学校にゆっくり通っていこうとずっと話していましたから」
発達障害はいくつかの特性を併せ持つことがほとんどで、赤平さんのお子さんの場合、ADHD(注意欠陥・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)、DCD(発達性協調運動障害)などの特性があり、現在は多くの部分でできることが増えているが、小学生の頃は具体的には次のような様子が見られたという。
・こだわりが強い
・衝動的、突発的に動いたり、走りだしたりしてしまう
・長時間座ったり、ジッとしたりしていられない、落ち着きがない
・一つのことにずっと集中するのが苦手
・相手の気持ちや空気を読むことが苦手
・他人とうまくコミュケーションがとれない
・周りに合わせられないので、集団行動が苦手
・運動全般、特に手指を使う細かい作業が苦手
・文字や文章がうまく書けない
・極端に忘れっぽい
・整理整頓が苦手
・聴覚が敏感で大きな音が苦手
その一方で言語理解に優れていたり、情報を一時的に記憶しておくワーキングメモリが突出していたりする。だが大量の情報をストックしていても、それを処理する速度が相対的に低いため、自分の能力を上手に使えていなかったという。