元テレ東アナ赤平大さん 発達障害の息子と続けた努力と習慣 “塾ナシ”麻布合格の秘訣はギフテッドにあらず

公開日: 更新日:

社会で生きづらさを感じているグレーゾーンの人たち

 小学校時代は毎日の登下校に付き添うなど、子どもと過ごす時間が十分持てたのは、2009年にテレ東を退社しフリーアナウンサーになったことが大きかったという。

「少しずつ自分なりの生き方を見つけ始めた息子を見て、もし私がサラリーマンだったら、絶対にできないことだったと思いました。発達障害は当事者の社会適応より、社会の理解が重要と多くの専門家が主張していることから、私が学んだ大量の知識と情報を多くの人に共有するにはどうすればいいのかと考えました」

 発達障害に関する知識と情報を伝えるための動画メディア「インクルボックス」は、赤平さん自身のこうした体験をきっかけに生まれた。

「これも特に起業がしたいとか、事業を大きくしたいという目的ではなく、私がいなくなっても、発達障害に対する社会の理解が進めば、息子が将来、自立して生きていけるはずと、ビジネス目的より息子のための起業でした」

 現在、「インクルボックス」は発達障害の子どもを育てる保護者、教育関係者、企業や団体を中心に利用されている。赤平さん自身、昨年は発達障害に関する50以上の研修や講演会で講師を務めた。

「コミュニケーションがうまくとれないなど、人づき合いに悩んでいる人をはじめ、発達障害と診断されていないもののグレーゾーンにあると思われる人が、家族だけでなく学校や会社、団体にいるケースは少なくありません。目に見える障害ではないものの、日常生活にサポートが必要なケースから、生きづらさを感じているケース、ちょっと変わった人と見られるケースなど、その症状もまちまちです。身近にこうした方がいるご家族や同僚の方に、他者理解を深めてもらえるように、動画をご覧いただけるようになってきています」

■「麻布に行けるなら行ってみたい」

 生活面、学習面で地道な努力を繰り返す中、小学6年生の12月に、赤平さんのお子さんは麻布中受験を決めることになるが、それには前段があった。

「息子が小学3年のとき、私が千代田区立麹町中学校の学校改革を手伝っていた関係から、当時の工藤勇一校長にアドバイスをいただいたことがありました。息子と何度も直接コミュニケーションをとってくださった工藤先生から『麻布が合うと思いますよ』と言っていただいたのです。そこですぐに過去問を取り寄せたのですが、難しすぎて、そのときは真剣に受験は考えませんでした」

 ところが受験直前になって、お子さんから「麻布に行けるなら行ってみたい」と突然言われた赤平さん。合格不合格に関係なく、この2カ月が一つのことに限界ギリギリまで頑張る機会になるならと、その決断を後押しした。

 しかし、難関校の中でも試験の質量は群を抜いていると言われる麻布中の特徴は、お子さんが最も苦手とする記述問題の多さ。麻布の試験問題との相性は最悪なものと言えた。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…