元テレ東アナ赤平大さん 発達障害の息子と続けた努力と習慣 “塾ナシ”麻布合格の秘訣はギフテッドにあらず
車が向こうから来ているのに、息子が道路に飛び出す理由が理解できた
当然、日常生活で困りごとに直面することが多く、周囲とのコミュニケーションで調和を取るのに苦労した。
「勉強で言えば、30分しか集中できないため、毎日スキマ時間にコツコツ積み上げていくしかありませんでした。その中で特に気をつけたのが、苦手なことと得意なことを本人によく認識してもらうことでした。本人に意図がしっかり伝わるように、私は感情的にならず論理的に何度も語り掛けるなど、できないからといってきつく注意したり無理に矯正したりするのではなく、できたことはほめて、できないことが少しずつでもできるようになるのを見守りました。100回改善点を伝えたら、200回はほめるというイメージです。息子自身も相手に自分の意志を伝えるのが苦手だと認識してから、癇癪を起こさないようになるなど、徐々に成果が出るようになりました」
赤平さんもかつては、他の子どもが普通にできるのに自身のお子さんだけができないことに、《なんで何度も忘れ物をするんだ!》《なんでみんなと仲良くできないんだ!》《ご飯をポロポロこぼさない!》とたびたび叱ったり、イライラしたりしていたという。
しかし、ADHDについて書かれたある本を手にしたことがきっかけで、そうした考えが改まったという。
「車が向こうからやってくるのに道に飛び出してしまうことがよくありました。ADHDは自分とモノの位置関係の把握が苦手な上、注意力の低さや衝動性が加わり、自分では渡れると判断した結果、そのような行動に出ていたことがわかったのです。ADHDのフィルターを通してみると、息子の言動の理由が理解できるようになりました。不勉強な父親であることを反省するとともに、つらい状況に置かれていたことを理解してあげられず、ひたすら息子に謝りました」
その後、研究論文を読み進めていくうちに発達障害への理解がさらに深まっていった。
「これまで500本以上の研究論文を読むことでわかったのは、発達障害の特性は100人いれば、100通りのパターンがあること。そして、大量の知識と情報があると、発達障害支援の成功確率が上がるということでした。私は大量の知識や情報を活用したことで、息子の特性を徐々に理解できるようになり、どうすれば日常生活を円滑に送れるようになるのか、トライ&エラーを繰り返しました。 例えば、本人に伝わるように声かけしても実際には伝わっていないことが多々あります。そこで自宅ではホワイトボードにその日の予定を書き込むなど“見える化”することで、本人に行動を促したりしています。息子の場合、話すよりも視覚を通じて情報を得たほうが脳に伝わりやすいのです」