NHK大河ドラマ『べらぼう』で再注目! 千束・吉原を歩く…250年を超えて残る遊郭街の「陰と陽」
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が先月から放映開始。横浜流星演じる主人公・蔦屋重三郎は現在の東京都台東区、千束エリアで生まれ育った。蔦重が生きた250年前の風が今でも吹く歓楽街。現地を歩いた。
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「まずはお写真から……」
「いい子いますよ!」
2月某日の午後2時ごろ。夜の長いこの街だが、通りを歩けば時間帯なぞ関係もなく、客引きからの誘い文句が次々と投げかけられる。しかし吉原では、一見客は“喫茶店”で風俗店を紹介してもらうのがオキマリだ。通りに面してびっしりと乱立する風俗店の合間に、所々“喫茶店”と怪しく光るネオン看板が立ち並ぶ。50代の男性店員によると、吉原には現在でも120以上の風俗店が軒を連ねているという。最近の繁盛具合をたずねると「やっぱり景気が良くなってくれないとね。そのうち大河ドラマ効果が待ってますよ(笑)」と気風のいい返答をくれた。
約250年前、客を遊女屋に案内する“引手茶屋”の軒先を間借りした小さな一角で、蔦重の出版事業は始まった。ひょっとすると当時も、こんな会話が書店の裏で繰り広げられていたのかもしれない。
一方で、夜の街とは縁遠そうな若い2人組の女性や高齢男性たちが吸い込まれる場所があった。今年1月に開館した「江戸新吉原耕書堂」だ。吉原に特化した観光案内やお土産品の販売を行っている。