NHK大河ドラマ『べらぼう』で再注目! 千束・吉原を歩く…250年を超えて残る遊郭街の「陰と陽」
「蔦重がもう一度、吉原を新しく」
館長を務める鈴木清美さんは街の変化を感じていると語る。
「かつては悪所といわれていましたからね。大河のおかげで『お休み処 桂茶』というお茶屋さんが新しくオープンしましたし、観光案内は老人会のみなさんが奮起。蔦重がもう一度、吉原を新しくしてくれています」
街を少し歩くと、次々に往時の賑わいを味わえる面影が見られる。まずは吉原への入り口である「五十間道」。一見なんの変哲もない曲がり道だが、吉原に出入りする客が外の通りから見えないよう、S字状に道が造られている。吉原神社の境内にある桜は「逢初桜」と呼ばれ、当時の遊客はまずこの桜を拝んだという。
一方で、“影”を象徴する遺跡も残っている。かつて、吉原は遊女の逃亡を防ぐために、田んぼのど真ん中につくられ周囲を高い塀と堀で囲った閉鎖空間だった。外界から遮断するために造られた石垣だけが残る「お歯黒どぶ跡」や、唯一の出入り口だった「吉原大門跡」には、籠の中の鳥だった彼女たちの悲しみが詰まっている。