鬼怒川温泉の渓谷に張り付く巨大廃墟群を探る…残された「バブル遺構」が物語るかつての栄華
2025年は「昭和100年」にあたる。かつて日本を沸かせた昭和のバブル期。当時の遺構が今も各地に残っている。そのひとつが、栃木県日光市の鬼怒川温泉にある廃虚群だ。節目の年に、その現状を探った。
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鬼怒川温泉は江戸時代初期から300年以上の歴史を持ち、都心からのアクセスの良さで知られる。日刊記者が訪れたのは1月下旬。正午過ぎに特急列車が鬼怒川温泉駅に到着すると、降車した観光客がぞろぞろと温泉街に繰り出し、街はにぎわいを見せていた。駅前には土産物屋、飲食店、おしゃれなカフェなどが揃っており、子ども連れやカップルが楽しそうに歩いていた。
街のほぼ中心を流れる鬼怒川には、険しい渓谷に沿うように瀟洒なホテルが軒を連ねている。
中心地こそ温泉街らしい雰囲気だが、街の北部に近づくにつれ徐々に人通りや店が少なくなる。駅から北に2キロほど進むと突如として姿を現すのが、ホテルの廃虚群だ。川を挟んだ対岸には営業中のホテルが並ぶ。その一方で、廃虚は外壁が黒ずみ、窓ガラスが割れ、建物の一部が崩壊。コントラストを描いている。