岸田首相が迫られる「大阪万博か、復興か」…ついに経済界の重鎮からも「延期」の声

公開日: 更新日:

 観測気球なのか。2025年大阪・関西万博の開催をめぐり、経済同友会の新浪代表幹事の発言が波紋を広げている。

「(能登半島地震の被害は)大変厳しい状況にある」「人命第一、これが政策としてしかるべきだ。そういうことであれば世界は理解してくれると思う」

 経団連と経済同友会、日本商工会議所の経済3団体トップが5日に開いた年頭の記者会見で、新浪氏はそう主張。万博延期の可能性に触れ、「この状況を考えれば、被災者への対応が何より優先されるべきだ」と強調した。

 新浪氏といえば、自身は日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長として、自身が社長を務めるサントリーは協賛金15億円以上の「プラチナパートナー」として、万博の旗振り役を担っている。

 キーパーソンの口から“万博延期論”が飛び出す一方、新浪氏と同じく万博協会の副会長を務める大阪府の吉村知事は、「万博か復興かの二択ではない」と強弁。しかし、建設業界は、今年4月から始まる時間外労働の上限規制の適用除外が検討されるほどの人手不足だ。万博延期によって人手や資材、重機が被災地へ優先的に回されれば、復興に資するのは間違いない。

 ただ、新浪氏の主張はもっともな半面、震災に直面する今ならば「万博延期」を打ち出しやすいという事情も漂う。

 万博は世論の8割が「チケットを購入したいと思わない」と表明しているほど、盛り上がりに欠ける。開催をゴリ押しするより、震災対応を理由に延期すれば、世界への“言い訳”は成り立つ──。「人命第一を世界は理解してくれるはず」(新浪氏)という発言の裏には、そんな思惑すら透ける。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  2. 2

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  3. 3

    日経新聞コラム「私の履歴書」で、伊藤忠の“ドン”岡藤正広会長の肝心なネタがスルーされた思惑

  4. 4

    吉村府知事が語った大阪万博の「魅力」に失笑買い話題騒然!地方局TV情報番組で売り込み発言も具体性ゼロ

  5. 5

    開幕まで2カ月も大阪万博ご難続き…入場券販売不振で“政敵”に泣きつき、海外パビリオン完成もわずか数カ国

  1. 6

    「貸金庫事件」の三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取の全銀協会長就任にOBらが懸念

  2. 7

    備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

  3. 8

    ドミノ・ピザ大量閉店で見えた業界の“地殻変動”…今やライバルは、ピザハットとピザーラだけにあらず

  4. 9

    大阪万博“引き抜き人事”に労組が抗議書提出の異常事態…府職員からは「通常業務さえままらない」の悲鳴

  5. 10

    ガソリン全国最高値の長野県「石油商業組合」に独禁法違反の疑いでメス! 公取委が重い腰上げた裏に自民の弱体化か

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…