経団連会長企業の住友化学が巨額赤字に転落…石油化学と住友ファーマの医薬品が大苦戦
双子の赤字──が経団連会長会社で総合化学大手の住友化学を「ちょっとした瀬戸際」(業界筋)に追い詰めている。本業の石油化学事業と上場子会社・住友ファーマを核に展開する医薬品事業が大苦戦。先週末には業績予想の下方修正を迫られ2024年3月期の最終損益は2450億円の巨額赤字(国際会計基準、前期は69億円の黒字)に転落する。「創業以来の危機的状況」(岩田圭一社長)だ。
業績減額修正は昨年11月に続いて今期2回目。最終赤字幅はその際の修正値950億円から一段と膨れ上がり、過去最悪となる。さらに住友ファーマでは収益計画の下振れに伴い今後、バランスシートに計上されている無形資産(23年末で3323億円)やのれん(同2224億円)の減損テストを実施予定。減損が認識されれば赤字額は再膨張する恐れもある。
石化事業の足を大きく引っ張っているのが、サウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコとの合弁(各37.5%出資)による「ペトロ・ラービグ」だ。これが中国の景気低迷や市況悪化などでまったく振るわない。同事業のコア営業損益(構造改革費など一時的費用を除いた営業損益)は870億円の赤字(前期は341億円の赤字)を見込むが、その7割超分がラービグに起因する。