「なにわの台所」は雰囲気ガラリ“ぼったくり市場”に…築地場外では和牛1串が3000円!
黒門市場(大阪)/築地場外市場(東京)
「Shrimp ¥3500」「King Crab ¥4000」「Sea Urchin ¥3500」──。あちこちの店頭の値札に英語表記と強気の値段が並ぶ。大阪・ミナミの黒門市場。地元庶民が気軽に買い物する「なにわの台所」の雰囲気は一変し、すっかりインバウンド目当ての店だらけである。
「コロナ禍の3年間で老舗を含め30近くの店が畳み、その跡に新規出店が相次いどるけど、どこもかしこも外国人観光客だけを相手する店ばっかりや」(ある店主)
平日の朝9時すぎに足を運ぶと日本人客はほぼいない。すれ違うのはアジア系の観光客が多い。ちょっと前には2万~3万円は当たり前の高値をふっかける店もあり、地元の人は“ぼったくり市場”と呼ぶようになった。今では悪名払拭のためか、1万円以上の品物はまず置いていない。加えて、ズラリと並ぶ1尾3500円の焼きエビや1本4000円のカニ足などを買い求める外国人観光客も見かけないのだ。
1本2500円で近江牛の串刺しを売るおっちゃんに話しかけると、開口一番「大阪には裕福な人が来てないんちゃう?」とこう続けた。
「ここに来る人も大半は何も買わんと、商店街の雰囲気を味わいたいだけ。食品サンプルの値段かてバカにならんし。商売あがったりですわ」
その横でアジア系の若いカップルが1串800円の焼きかまぼこをおいしそうに頬張っていた。