深刻化する後継者不足…J.フロントが3月に始める「事業継承ファンド」の狙いとは?
2月6日号(5日発売)で百貨店業界は、都心店舗がインバウンド消費や富裕層消費で売り上げを伸ばす一方、地方店では店舗の撤退が増えるなど、厳しさが増していることをリポートした。
すでに百貨店業界ではフルラインの品揃えや、婦人服販売に依存した従来の百貨店ビジネスから、不動産賃貸ビジネスやスーパーの買収など業界の垣根を越えた動きが活発化している。
大丸松坂屋百貨店、パルコを運営するJ.フロントリテイリングは、後継者不足の企業を支援する「事業承継ファンド」を3月に設立する予定だ。小売業では初の取り組みとなる。
「後継者不足から事業承継にお困りになっている全国の企業を支援することが目的です。ファンドの対象は、食文化に関わるあらゆるカテゴリーで地域に根差したコンテンツを持つ企業に、グループの販売チャンネルを生かし、資金や人材派遣を含めた経営支援をしていきます」(大丸関係者)
中小企業や老舗企業では、後継者不足が深刻化し、2023年の「後継者難倒産」は564件と、前年(476件)比18.5%の増加と、年間で初めて500件を超え、過去最多を大幅に更新している(帝国データバンク調べ)。急増している原因について、同社情報統括部の飯島大介副係長がこう解説する。