株価は絶好調でも証券会社は儲からない仕組み…「熱狂」がない理由はコレなのか?
日経平均株価が34年前の史上最高値を抜いたと大きなニュースになっている。それにしては「熱狂」がないともいわれるが、その理由は証券業界の“静けさ”にあるのではないか。
バブル期の大手証券は企業から集めた資金=営業特金を使って一任売買を行い、その規模は5兆円にも達した。売買する株の選定も、「トリプルメリット(円高、低金利、原油安)」だの「ウオーターフロント(東京湾岸開発)」といった「市場テーマ」を自分たちで設定し、大量推奨販売をしたものだ。こうして日本株の出来高は急増、証券各社の手数料収入と利益は空前。最大手の野村証券は1987年9月期決算で4937億円の経常利益を上げ、トヨタを抜いて日本一となり、世間をアッと言わせたものである。当時は景気のいい話がゴロゴロで、某大手証券はオーストラリアにゴルフ場付きの保養所を購入したとか、多くの証券マンがケタ外れのボーナスをあて込んでマイホームを購入したのもその頃だった。つまり、証券業界がバブルの熱気をつくり、あおったのである。
しかし現在は、営業特金も大量推奨販売も禁止され、99年10月からの株式売買の手数料自由化で手数料収入は激減し、今や手数料ゼロのネット証券が主流になりつつあるご時世だ。証券会社のメインの業務だった日本株の売買は、儲からないビジネスになってしまっている。それゆえ、証券会社はかつてほど日本株の売買に注力しなくなった。