ビッグモーター、グッドスピードの再生処理案固まるも…「難路はこれから」の厳しい状況
片や宇佐美のTOBは4~5月にかけて2段階で行われる。まず創業社長でグッドスピード株の24.08%を持つ筆頭株主、加藤久統氏から1株当たり722円のディスカウント価格で保有株を取得。その後、少数株主向けに850円で買い取りを募り、スクイーズアウト(強制買い取り)などを絡めて最終的には完全子会社化。創業家の影響力を断ち切る。
伊藤忠は事業や店舗だけでなく従業員も原則、新会社で継承する。しかし「兼重氏との関係性が色濃い経営幹部や一部の管理職は引き継がない考え」(事情通)。傷ついたブランドイメージを刷新するため社名も変更する方針で、市場関係者の間では早くも「旧ジャニーズ事務所じゃあるまいし、まさか『スマイルモーター』じゃないよね」といったジョークも飛ぶ。
もっともスポンサーが決まったからといって、事業再生までが担保されたわけではない。ビッグモーターは不正が明るみに出て以降、月次ベースで赤字が続く。グッドスピードは5242件もの不適切会計処理を抱え、23年9月期の決算さえいまだ開示できないありさまだ。むしろ「難路はこれから」(総合商社筋)といっても過言ではない。