業務用メーカーが造った家庭向けコーヒー焙煎器「くるくるカンカン」が3万5000円超でも売れるワケ

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福島達男さん(富士珈機社長)

 空前のキャンプブーム。いま注目されているのがアウトドアでのコーヒー焙煎だ。コーヒー生豆にじっくりと火を通し、自分好みの味に仕上げる。その一杯を自然の中で味わうのはまさに至福のひとときだ。

 ところが一般的な手網を使った焙煎は火加減が難しく、初心者は焦がしやすい。それを防ぐ構造により、初心者でも失敗しにくいと評判なのがこの手回し式の小型焙煎器「くるくるカンカン」だ。1台3万6300円(生豆付き)。1個1000円程度の手網式の焙煎器に比べると高額だが、スタンドに鋳物を使った重厚感のあるフォルムや、ずっと回していたくなる回転ハンドルの滑らかさなどが、物にこだわりの強い中高年層の心に刺さった。2023年4月の発売以来口コミでジワジワと人気を集めている。

 造ったのは日本有数の業務用コーヒー機器メーカー富士珈機。創業は昭和30年、フジローヤルのブランド名で知られる。

 くるくるカンカンの生みの親である4代目社長の福島達男さんは、「価格を下げるために焙煎器に既製品の缶を転用しました。それを二重構造にすることで火に直接当たらず、焦げにくくしています。プロ向けメーカーとして長年培ってきた知恵と技術を凝縮しています」と胸を張る。

 改めて商品を見てみると、確かに焙煎容器は2重になっており、中央に開いた穴から豆を入れるようになっている。それを卓上コンロの火にかけ、くるくる回しながら焙煎するというわけだ。

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