半導体の抑止「シリコンの盾」がなくなる日 台湾有事を覚悟するべきなのか
1月の台湾総統選挙で、中国が「台湾独立勢力」と非難する民進党の頼清徳が当選したが、立法委員選挙では民進党は過半数を割り、国民党に次ぐ第2党に転落した。
米国の恐れる中台統一。中国では「台湾総統選挙」を「台湾地区での選挙」と報道していた。香港の独立運動は消滅し、社会も沈静化である。これは米国には想定外と思われ、習政権のもと2030年までに起こりうる中台統一に対処。軍事産業の要の半導体製造、その世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を66億ドルの巨額補助金を交付し米国に誘致した。
台湾は安全保障上の観点から半導体生産を重視してきた。台湾有事の際に半導体の供給網が混乱することを中国や国際社会に認識させて抑止力とする戦略は「シリコンの盾」と呼ばれているが、TSMCの米国誘致で、この盾がなくなる。
先端半導体(回路線幅10ナノメートル未満)の生産は、世界全体の92%が台湾に集中している。TSMCは半導体の受託生産で世界シェア56%を握っており、米政権は30年までに世界の先端半導体の2割を国内で生産する目標を掲げている。
韓国では19年以来となる日中韓首脳会談の5月開催に向けて調整が進められているというが、岸田政権はどう中国に対応するだろうか。