焼き肉チェーン“冬の時代”に「焼肉きんぐ」が躍進! 今後も1強が続きそうなワケ
コストが上昇していても、競争激化で簡単に値上げはできないのだ。厳しい市場環境で特に小規模店の倒産が増えたという。
「効率性で劣る中小の焼き肉店は大手チェーンより安くできない。高級店か、ブランドなどのコンセプトで差別化した店舗以外は難しい」(外食関係者)
■「牛角」「安楽亭」は店舗数減少
だが、大手焼き肉チェーンの業績も厳しい。業界最大手の「牛角」はコロナ禍前に600店舗以上、展開していたが、現在は507店舗に減少。コスト上昇圧力や人手不足が収まらず、楽観できない状況が続いているとされる。19年度末に180店舗あった「安楽亭」も143店舗に減少。不採算店の閉鎖やステーキ業態への転換を進めた。
一方、厳しい市場で躍進したのが「焼肉きんぐ」だ。20年6月末の241店舗から、昨年末時点で339店舗に急増。3000円台の焼き肉食べ放題が家族連れに人気で、週末は予約が取れないことも多い。
「焼き肉店は入店前に会計金額が読みづらいのが難点だが、『焼肉きんぐ』は定価の食べ放題メニューなので安心感がある。大量仕入れや配膳ロボットの導入でコストを抑えており、他店にはできない価格で提供できる」(前出の外食関係者)
牛角や安楽亭も食べ放題メニューを提供しているが、特化しているわけではない。コスト高でも低価格を実現できる焼肉きんぐ1強の状態が続きそうだ。牛肉の価格も依然高騰しており、業界全体でさらなる淘汰が進むかもしれない。
(ライター・山口伸)