著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

メンツ重視の軍官僚は「対米英蘭戦」の言葉いじりに陥った

公開日: 更新日:
田中新一(左)は早期開戦を主張し福留繁は外交を見守ろうと説得した(C)共同通信社

 軍事指導部の軍人たちは正面きって対米戦を主張せず、極めて狡猾な言い方を試みた。7月2日の御前会議で南部仏印進駐が決まった折、帝国国策要綱には「対英米戦を辞せず」の方針で軍事行動を起こすと明記されていた。ただ、この段階では戦争を辞せざる決意という覚悟を述べたに過ぎなかった。日本が…

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