「彼女について知ることのすべて」佐藤正午著
「彼女について知ることのすべて」佐藤正午著
1984年夏、その夜、小学校教員の「わたし」は人を殺すために車を走らせていた。しかし、約束の時間に間に合わず、事件はわたし抜きで起きてしまった。事件後、わたしはこれまでのことを一から組み立て直そうとつとめてきた。
その年の正月、わたしは帰省から戻る同僚で婚約者の三千代をバスターミナルまで迎えに行く。三千代は後輩のめいと一緒だった。それがめいとの出会いだった。三千代と別れ、めいと付き合い始めた数カ月後、わたしの前にひとりの男が現れる。
8年後、離島勤務を終えたわたしが働く小学校に教頭として三千代の兄が着任してくる。そんな矢先、事件を担当した弁護士から連絡が入る。
ミステリアスな展開で女に翻弄される主人公を描く傑作長編。
(光文社 1012円)