「白医」下村敦史著

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「白医」下村敦史著

 患者3人を安楽死させたとして罪に問われたホスピスの医師・神崎は、法廷で沈黙を貫く。

 死んだ患者の1人、プロボクサーの雅隆はがんが全身に転移していた。妻の多香子が息子を伴い足しげく見舞いに通ってきていたが、神崎は雅隆から「先生……多香子の表の顔にだまされないでくれよな」と言われる。やがて病状が進行し、痛みに苦しむ雅隆は「先生の手で俺を死なせてほしい」と執拗(しつよう)に懇願してくる。そんなある日、神崎は「あなたが生きていたらいい加減迷惑なの!」と病室で夫を責め続ける多香子の激しい言葉を聞いてしまう。

 一方、神崎を告発した後輩医師の高井は、ALSの患者・真葵から人工呼吸器を外して欲しいと頼まれ、困惑する。

 死を目前にした患者と向き合う医師の懊悩(おうのう)を描く医療ミステリー。 (講談社 869円)

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