オリ平野恵「幸せな14年」 真摯に全力で駆け抜けた小兵の矜持
それでもプロ野球は競争の世界。本人もレギュラー争いを覚悟したものの、それすらかなわなかった。阪神が西岡と福留にレギュラーの座を確約していたのだ。それまで阪神の中心選手としてチームを支えてきた平野の自負心は一瞬にして吹き飛んだ。
「ポジション争いをして負けるのなら納得がいきますが、最初から2人(西岡、福留)をレギュラーで使うというのがどうしても自分の中で受け入れられなくて。僕は今まで何のために阪神で頑張ってきたのか。本当に悔しい。こういう思いは後輩にはしてもらいたくない。そのためにもここでもう一度頑張ります」
以後の平野はオリックスのために身を粉にした。チームが下降線をたどれば、自ら円陣を組んで声出し。試合に出場できない時は、同僚の士気を鼓舞。不調の若手選手を見つけては、積極的に声をかけ、「おまえならやれる」と気持ちを奮い立たせた。
自ら苦しい経験をしたからこそ、平野の言葉には重みがあるという。将来はきっと、選手の気持ちを理解する指導者になるに違いない。
■通算成績1260試合、1184安打、打率2割7分9厘、18本塁打、263打点、256犠打。10、11年に二塁手でベストナインとゴールデングラブ賞。