菊地絵理香も勝てず タフなコースで露呈した日本女子の限界
■用意周到だったチョン・インジ
これで国内メジャーと呼ばれる公式戦は5戦連続で外国人プロが優勝。日本人選手は勝てなくなってしまった。田原紘一プロがこう言う。
「勝ったチョン・インジは、欧米人並みの体幹とアジア人ならではの器用さがあります。さらに精神面も体力面も日本人とは全然違いました。勝つために来日し、どうしたら勝てるのか、4日間72ホールの組み立て方がしっかりしている。2アンダーにしておけば、プレーオフに持ち込めると計算していたのでしょう。だからサンデーバック9に2バーディー、ノーボギーの手堅いゴルフに徹したわけです。もちろん圧倒的な練習量と、日頃から世界最高峰の舞台でトッププロと戦っている経験の差もあります」
優勝スコア2アンダーは、今季国内ツアーで最も悪い。その一方で2ケタアンダー優勝は今季28試合中15試合もある。「タフな設定になった途端、日本人選手がダメになるのはワケがある」と評論家の宮崎紘一氏がこう指摘する。
「プレーオフに入ってホールを重ねるにつれ、チョン・インジは尻上がりにショットが良くなっていきましたが、菊地は精神的、肉体的にも限界という感じでした。プレーオフは、夕暮れになって体を冷やさないようにチョン・インジは寒さ対策のウインドブレーカーやロングパンツをはくなど用意周到だった。また会場は距離が長く、砲台グリーンが多い。さらに今大会はLPGA(日本女子プロゴルフ協会)ではなく、JGA(日本ゴルフ協会)がコース設定しているため、グリーンが硬くてピン位置が難しい。高いボールを打ってグリーンに止めなければならない設定になっています。しかし、普段からこのようなタフなコースで試合をやっていないのですから、接戦になったら世界で戦っている本物のプロにかなわないのは当然です」
チョン・インジはワールドランク10位。日刊ゲンダイがすでに指摘した通り、タフな会場設定のうえに、強豪選手が来日出場したら、日本人選手に勝ち目はないのだ。