2015年ハリル日本を検証 「第1ステップ」は緩やかながら進歩
長めのタテパス一辺倒ではなく、FWが引いてきたところにミドルパスを送り、クサビに入ったFWがワンタッチでリターンパス。同時にFWが引いたことで生まれたスペースを活用する――という攻撃パターンだ。
これを相手の守備陣形が崩れるまで、何度も何度も繰り返す。中央以外のサイドでも実践して、数的優位の状況をつくり出すことに成功した。これが「第3段階」である。
サッカーに特効薬はない。監督が代わったからといって短時間に劇的に変わるものでもない。それでもハリル日本の「第1ステップ」には、緩やかながらも進歩が見てとれた。
「予選E組最下位のカンボジアから2点しか取れなかった」と攻撃陣に不満を持つ読者も多いだろう。アウェー2連戦を現地で取材し、シンガポールとカンボジアでは暑さの質が違い、コンディション調整が想像以上に難しいことを痛感した。
例えばシンガポールでの本田は、体調が整わなくてバテバテだった。
日本でテレビ観戦しながら、厳しい意見を言うのが専門の解説者もいるが、それではリアリティーに欠ける。これも現地で取材した実感である。