ポゼッション捨て頂点に 手倉森U-23が選んだ「現実路線」
リオ五輪で手倉森ジャパンは番狂わせ、「ジャイアント・キリング」を起こす可能性はあるか? 私自身は「秘めている」と思っている。
4年前のロンドン五輪3位決定戦。関塚ジャパンはボールポゼッション(支配率)で上回りながら、韓国のロングボール主体の攻撃に敗れメダルを逃した。
ほんの数年前まで、例えば中東勢なども日本にカウンターで対抗してきた。しかし、今大会は韓国、イラク、イランなど大半のチームが長短のパスをつなぎ、ボールポゼッションで日本を上回った。
もはやポゼッションサッカーは日本のお家芸ではない。そういう状況を踏まえた上で手倉森監督は、まずはチーム全体で堅く守り、攻めてはショートカウンターを武器にすることを選択した。
ちなみにこれは、ハリルホジッチ監督が日本代表で目指しているサッカーと同じスタイルだ。あえてボールポゼッションにこだわらず、現実路線を突き進めることが、五輪代表では見事に奏功して優勝という結果を残した。
今のスタイルに磨きをかけ、そして選手個々がもう一段レベルアップを果たせば、メダル獲得も決して夢ではない。
▽ろくかわ・とおる 1957年9月、東京都生まれ。法政大卒。近著に「7人の外国人監督と191のメッセージ」(東邦出版)。