抜擢の原川が劇的弾 U-23手倉森監督に「A代表任せろ」の声
「何よりも粘りの勝利だった。堅く守って好機を見いだす戦いに徹し、試合を重ねるごとにチームを熟成させた手倉森監督を褒めてあげたい」
こう話すのは、日本最高のストライカーといわれる釜本邦茂氏(メキシコ五輪得点王)である。
カタールで行われている五輪最終予選の準決勝で日本が、アディショナルタイムにMF原川力(22)の劇的ゴールでイラクを2―1で倒し、6大会連続出場を決めた。
先制したのは日本。前半26分、カウンターからFW鈴木武蔵(21)が左サイドを抜け出し、ゴール前に送ったクロスをFW久保裕也(22)が、スライディングしながら押し込んだ。
しかし、前半終了間際に同点に追い付かれ、後半はイラクのペースのままアディショナルタイムに突入した。
ここでボランチで先発出場のMF原川が大仕事だ。渾身の左足ボレーシュートをゴールネットに突き刺したのである。
「MF原川の決勝ゴールは、手倉森監督の決断力が導いたものです。大会前から『フィジカル勝負に持ち込まれると日本は苦しい。まずは専守防衛で失点を抑え、相手の足が止まり始める後半途中から仕掛ける』というゲームプランを大会に入ってより明確にした。攻守のつなぎ役であるボランチは、MF遠藤航(22)とMF大島僚太(23)がレギュラー格。2人とも1次リーグ初戦の北朝鮮戦に先発したが、大島の守備力の弱さがネックになると判断。2戦目タイ戦以降は、守備力の高い原川を起用し、準々決勝のイラン戦、準決勝のイラク戦でも先発出場させた。手倉森監督の『原川に任せる』という決断力が、五輪出場を決めるゴールを呼び込んだのです」(サッカージャーナリスト・六川亨氏)