金本阪神キャンプ「ウエートトレ」強制に専門家が疑問符
テレビカメラ18台に報道陣が230人。12球団で最も注目を集めた阪神キャンプも、初日は雨にたたられ、屋内での練習となった。
「鍛えるキャンプにする」と明言している金本新監督が重視しているのがウエートトレーニングだ。若い頃はマッチ棒みたいに細い体だった金本監督は、バーベルやマシンを使って鋼のような体をつくりあげ「鉄人」になった。ちなみに現役時代の体脂肪率は7~9%ぐらいだったという。
阪神キャンプはこれまでも個別にウエートをやっていたが、今年から午後のメニューの中に組み込み、1クールに2日は強制的に行うことになった。監督自身の経験から、選手のパワーやスケールアップを図ろうというわけだ。
しかし、フィジカルトレーナーの平山昌弘氏は首をかしげてこう語る。
「金本監督は現役時代、ウエートトレのおかげで結果を残しましたが、彼はパワーで打つタイプだった。一方で、3度の三冠王に輝いた落合(博満)さんのように、体重移動とバットをしなやかに操りながら打つタイプもいる。落合さんと話した時、『俺は大きくなかった(三冠王当時178センチ・80キロ)ので、効率よく体を使うことしか考えていなかった。ウエート? そんなことやったら、俺は壊れちゃうよ』と聞いて、なるほどなと思ったものです。監督は主観ではなく、選手の適性を見極めて客観的に判断しなければなりません。練習方法も合う人、合わない人がいる。自身の経験値だけに頼ってウエートを強制すれば、壊れてしまう選手も出てくる。ウエートで体を大きくした清原選手がそうだったように、筋肉に依存する打者の晩年は体がボロボロです」
それは投手だって同じだろう。阪神の元エースだった江夏(豊)が、ウエートトレ―ニングをガンガンやっていたという話は聞いたことがない。ウエートトレがプラスになる選手がいるのは間違いないが、逆もまたしかりである。