前年覇者チョン・インジの出場辞退に「もう呼ぶな」の声
【ワールドレディスサロンパス杯】
失礼な話だ。3月のケガと米ツアーの過密スケジュールを理由に、今大会出場を辞退したチョン・インジ(21)のことだ。
チョンは昨年招待選手として出場し、日本ツアー初出場ながら初優勝を飾り、優勝賞金2400万円を手にした。
日本ツアーには、優勝者は翌年大会への出場義務があり、違反すると100万円の罰金が科せられる。日本ツアーに登録していないチョンには適用されないとはいえ、「非常識だ」という声が上がっているのだ。
現在、世界ランク7位で韓国勢3番手のチョンはリオ五輪の出場権(韓国は上位4人まで)を確実にさせるため、日本の大会に出場するよりも世界ランキングが上がりやすい米女子ツアーに専念している。ところが今週の米ツアーには出場していない。1打差の2位タイに浮上したL・トンプソン(21)同様、今大会出場は可能だった。
「なんで前年優勝者が試合に出なくてはいけないのか、根本的なことが分かっていません」と、作家でゴルフ評論家の早瀬利之氏がこう続ける。「例えば97年にダンロップフェニックスを制したT・ワトソンは翌年もしっかり宮崎に来たし、04年から連覇したT・ウッズは3年連続で出場しています。それが招待者に対する礼儀です。出場を楽しみにしているファンは前年優勝者を歓迎し、選手はプレーで応える。そういう歴史が根付いています。試合に欠場することは、ファンに対する裏切り行為。それがトッププロの共通認識です。そういう意識がないのでしょう。今大会は公式戦なのに前年優勝者が出てこないのですから、日本ツアーもナメられたもの。恩義も感じないような選手を呼んだ方にも問題があります。二度と招待するべきではありません」
チョンは熊本地震の義援金として100万円を寄付し、「私のゴルフキャリアの成功は、昨年大会に出場する機会に恵まれ、優勝できたことがなければありえません」というメッセージを寄せた。その気持ちが本当なら日本に来てプレーを見せることが、感謝の意を示すことになるはずだが……。