アウクスブルク宇佐美貴史 「貪欲にボジション奪取を」
監督交代で光明が
昨年12月中旬に指揮官が代わったアウクスブルク。バウム暫定監督体制初戦となった同月17日のボルシアMG戦で、宇佐美貴史は今季初先発を飾った。ドイツ代表MFクラマーを激しいタックルで負傷させるシーンもあったが、守備面で献身的な姿勢を披露。自主練でフィジカル面を強化した成果を見せた。ボルシアMG戦の勝利に貢献した宇佐美は、昨年末に「暫定」の2文字が取れたバウム監督の下で迎えるブンデスリーガ後半戦に向け、何を思っているのか?
■自分の色を1試合で5回出す
「ボルシアMG戦では、守備の部分では1回やられましたけど、それ以外はほぼ崩されることもなかった。ただ攻撃の質は低かったので、そこをどう発揮していくか。もっと《自分にしかないもの》をチームに浸透させていくことが大事ですね。バウム監督は、対戦相手のやり方やシステムによって、攻撃陣も守備陣もフォーメーションを変えたりする。戦術も多いし、細かい監督という印象があります。ドイツの場合、上位6~7チームはボールを保持するスタイルでやれますけど、それ以外は守備で走らされる。仕掛けられるチャンスは1試合の中で多くて5回。その5回の中で《自分の色を出す》ことを徹底できれば、監督にとっても使いやすい選手になるのかなと思います」と、宇佐美は自分のやるべきことを明確に見据えている。
その成果は17年に入って着実に出始めている。
7日のオランダ1部AZとの練習試合に左MFで先発した宇佐美は、いきなりゴールを決めて存在感をアピール。前監督に戦力外同然の扱いを受けたリーグ前半戦の鬱憤を晴らすべく、逆襲の予感を漂わせている。
「クリスマス休暇(ドイツは昨年12月22日から1月20日までリーグ中断)はみんなベッタリ休んでくるでしょうから、自分にとってはかなりのチャンス。俺は正直、オフなんていらないと思ったくらいなんで。ホントに貪欲にポジションを奪っていかないと。下積み作業はリーグ前半戦の半年で十分。その思いを後半戦の試合にぶつけたい」と宇佐美は語気を強めた。
■「もう少し待ってくれと言いたい」
21日のホッフェンハイム戦から再開される後半戦で実績を残せれば、日本代表復帰の道も開けてくる。3月23日には、ロシアW杯最終予選の後半戦初戦となるUAE戦がある。そこに照準を合わせていくことになる。
「やっぱりクラブで試合に出ていないと、代表には入れない。ブンデスで試合に出られれば成長できるし、そうなって初めて《本当に日本代表に必要な選手になれた》ってことになる。日本の人たちは『宇佐美、何してんねん』って思ってるだろうけど、俺は困難に直面しても諦めて腐るようなタイプじゃない。もう少し待っててくれと言いたい。17年は応援してくれる人に恩返しする意味でも、自分らしいパフォーマンスを見せたいです」
かつてないほど前向きな状態でサッカーに邁進している宇佐美。怪物といわれた男のリベンジはこれからだ――。