久保裕也<1>日本代表欧州遠征の2試合で痛感したこと
11月14日のベルギー戦後半23分に日本の「背番号11」久保裕也(ヘントFW)が登場すると地元ブルージュのサポーターから大ブーイングが飛び交った。国内リーグのライバルチームに所属するFWを強く意識した行動だった。その重圧が災いしたのか、久保は無得点に終わり、それどころかFWルカク(マンチェスター・ユナイテッド)の決勝弾をお膳立てしたシャドリ(ウェストブロムウィッチFW)の突破を許してしまった。「裕也は守備でもすごく頑張っていたけど、このレベルでは一瞬でも気を抜いたらやられる」と長友佑都(インテルDF)は評したが、本人もその事実を痛感したことだろう。サッカージャーナリスト・元川悦子氏が欧州に足を運び、一線級ストライカーの「今」に迫った。
■「中途半端に終わるとああなる」
11月のブラジル戦(10日=リール)、ベルギー戦は、久保にとって世界を体感できる数少ない場だった。2013年夏に赴いたスイス1部のヤングボーイズ、今年1月からプレーするベルギー1部のヘントと欧州経験は5年に上るが、レアル・マドリードなど強豪クラブとの対戦経験はない。だからこそ、世界の強豪を相手に自分の力を思う存分に試してみたかった。しかし、ブラジル戦は前半のみで交代。自ら攻め込みながら打ち切れなかった前半36分のシュートシーンが、ジェズス(マンチェスター・シティFW)の3点目につながるという悔しさも味わった。