久保裕也<1>日本代表欧州遠征の2試合で痛感したこと
「最後は迷ったというか……。打ち切っていたらカウンターを食らうこともなかった。そもそも勝負しないんだったら、僕が(試合に)出る意味はない。中途半端に終わるとああなるってことを思い知らされました」と久保は自戒を込めて言う。
その屈辱感を晴らすべく、地元でのベルギー戦に挑んだが、決定機が巡ってこないままタイムアップの笛。研ぎ澄まされたナイフのような決定力は影を潛めた。
「自分は『1試合で1本のシュートチャンスがあればゴールを決められる』と思ってここまでやってきた。それくらいシュートには自信を持っています。だけど、入らないとあれこれ考え過ぎ、自信がなくなってドツボにはまっていく。そういう自分の性格に気づいたのが、スイスでプレーしていたときです。すべてメンタル的なもの。慌てると入るものも入らなかったりするから」と言う久保は、その後ヘントで努めて楽観的にプレーすることを心がけている。
精神面さえ安定すればシュートの技術と迫力はピカイチ。京都時代の大木武監督(現岐阜)にも太鼓判を押され、J2で30試合10得点という実績を残し、ザッケローニ元日本代表監督から招集された事実からも、彼の非凡さが証明されている。
「当時は『高校生だから……』って思いながら気楽にやれた」と本人も述懐するが、リラックスした状態で日の丸を背負って強豪国に立ち向かえるようになること――。それがロシアW杯に挑む久保に課された課題といえるだろう。
(つづく)