礼を失した退職劇 貴乃花親方“唯我独尊”のメンタリティー
それはすなわち「平成の大横綱」は協会内のだれよりもエラい、自分はナンバーワンだとの自負があるからではないか。
その貴乃花親方が「オヤジ」と呼んでペコペコしたのは「故・北の湖前理事長に対してだけだった」と周囲はみる。
だが、それも北の湖前理事長が貴乃花親方を重用、ゆくゆくは理事長の器だと引き立てたからに他ならない。「貴乃花にとって北の湖さんは、自分が一番だと認めてくれる存在、自分の味方だから利用していただけさ」とは、あるベテラン親方だ。
■何をやっても許される
そんな貴乃花親方の性格というか、人間性は幼少期から育まれた。
父親の元大関貴ノ花は、土俵の鬼といわれた元横綱初代若乃花の弟。毛並みの良さに加え、均整の取れた体つきや甘いマスクから「角界のプリンス」と呼ばれ、バツグンの人気を誇った。そんな父親をもつだけに「ガキのころからマスコミにはヨイショされるし、オレ様になる下地はあった」と、さるベテラン親方がこう続ける。
「何をやっても許されると思ってたんだろう。父親の二子山部屋で力士が昼寝してる最中、あろうことか力士目掛けて上からツバを垂らしたというんだな。それがお手伝いさんなのか女中さんなのか力士なのか家族なのかは定かじゃないが、自分で靴下をはかず、はかせてもらっていたと聞いたこともある」